インタビュー

■イルミナイトの概要を教えて下さい。

2007年からはじまった日本万国博覧会記念機構 主催のクリスマスイベントです。
イルミネーションを軸とした遊びあり、飲食あり、体験コーナーありの複合イベントです。


■過去のイルミナイトで行ってきたこと。

イルミナイトは毎年、企画コンペによって実施業者が選定されます。
弊社、TSP太陽㈱は、2008年と2010年と今年の2011年を実施させていただいています。

イルミネーションイベントはどうしてもLEDの「球数」勝負になってしまう傾向があります。
他のイルミイベントと差別化をはかるにはどうすれば良いか?という観点から
万博公園の大きな財産である「太陽の塔」をうまく活かせないか?という事にたどり着きました。

そこで、プロジェクションアートの先駆者 長谷川章さんのDKライブをスペックし、太陽の塔と現代のアーティストのコラボが実現。

その後のイベントのメインコンテンツになってきました。



■BeamPaintingを採用しようとしたきっかけはどういうことでしょう?

先にも申しましたように企画コンペではいかにして他社との差別化するかが最重要課題となります。

過去のイルミナイトでは、
2008年の長谷川章さんの「DKライブ」


2010年の平野治朗さんの「GINGA」


皆さん独自のすばらしい空間を創出していただきました。

しかし、2011年は何を提案しようかプランが枯渇した状態でした。

夏は「縁」あってミラーボーラーに決まりました。 


しかし冬のメインコンテンツが決まらず重要な「パズルのピースが欠けた状態」が続きました。

たまたま別の案件でタケナカさんのスクリーンサイズが知りたくカタログ請求をしたのがきっかけで、
いただいたカタログに掲載されていたのが「ビームペインティング」でした。
以前から海外の3Dマッピングの事例を観ていましたので国内でこれができるのか!と驚きました。

PIGIなどのプロジェクションショーの次世代を行く技術。
プロジェクション第二世代ともいえるのではないでしょうか?

そして、パズルの欠けたピースがはまり、企画がひらめきました。

2011年という岡本太郎生誕100周年という節目の年。

万博機構、そして来場者の皆様、すべての人が満足し楽しめるものはできないか?

~最新の映像技術を駆使して現在、非公開となっている太陽の塔内部の「生命の樹」を再現する~

それを具現化できるのが「ビームペインティング」でした。

(EXPO'70当時 生命の樹)

最新映像技術で再現した「生命の樹」を軸に、岡本太郎の世界観、作品、言葉の要素を加えさらに
太陽の塔がテーマ館の一部だったEXPO'70当時の情景、文化を絡めることで冬のメインコンテンツの
方向性がきまり、企画コンペで採用され受注の運びとなりました。



■BeamPaintingの魅力を教えて下さい。

過去に開催されたイルミナイトでは太陽の塔を活用する部分のコンテンツがアーティストの皆様の作品と太陽の塔の
コラボということもありアーティスト決定後は、制作側で関与する余地は、あまりありませんでした。

場所の提供、すなわち創造空間の提供のみで、そこから先はアーティスト次第でした。

しかし回を重ねるうち自分や、万博機構さんのアイデアも盛り込めるようなコンテンツが出来ないか?ということが
課題でしたがそれを解決し実現してくれたのが「ビームペインティング」です。

投影する内容=映像コンテンツは全て新作として制作しなければなりませんので
その分、各担当の意思統一も重要となります。

推進開始直後に、万博機構、タケナカ、そして私の三者で「ブレスト」会議をさせていただきました。
それが非常に楽しかったのを記憶しています。

「こんなことはできないか?」「あんなことはどう?」「こんな妄想もあるんですが・・」など
コンテンツを創り上げていく「楽しみ」と「喜び」をクライアントにも共感していただける非常に良いコンテンツだと思いました。

その「創りあげる魅力」も「ビームペインティング」の魅力だと確信しました。


■制作も佳境ですが、推進する上で感じたことはありますか?

今回、タケナカのスタッフと協働させていただいて一番、メリットを感じたのは
「コンテンツ制作から機材レンタル、現場のオペレーションまで一貫しておまかせできる」点です。

映像コンテンツだけ作れる会社や、機材だけを持っている会社の場合、間に入っての調整作業がいろいろ発生しますがタケナカの場合、
一社に説明をすれば、後はいっせいに完成に向けて走ってもらえるので、
手離れが非常に良いイメージがあります。

また3Dマッピング自体が新しく国内でも事例の少ない手法なので、実績がないと解らない事、例えば
効果的な見せ方や映像構成など、的確に過去の実績に裏付けされたアドバイスによって安心して推進することが出来ています。


■完成に向けて何か?

私はEXPO'70の開催された1970年生まれなので、EXPO'70も テーマ館である太陽の塔の内部も体感していません。
しかし今回、コンテンツ制作のために調査を重ねる度に、当時の文化やデザインの斬新さ、情熱、面白さに圧倒されました。

また非常に勉強不足ですが、岡本太郎についても「芸術は爆発だ!」のCMのイメージしかありませんでした。
コンペの際に一夜漬けで調査し、二次元作品の色の使い方や、三次元作品の全方向スキの無い造形美に感動しました。

また数々の名言は、制作に行き詰った時の心の支えとなりました。

今年のイルミナイト万博X'masでは、岡本太郎とEXPO'70 を知る世代の人には懐かしく、知らない世代の人には斬新で新鮮な
プロジェクションショーを展開し、大人から子どもまですべての来場者に楽しんでいただける作品にしたいと思います。



■今回のBeamPaintingに期待すること。また今後、プロデューサーとしてどういった場面で使っていきたいか?

これから国内でもどんどん事例が増えていくと思いますが、そのお手本のような作品、起爆剤になれば良いなと思います。

どういった場面で使用するかは、映像技術として高い再現力を利用すれば、様々な用途が生まれると思います。
屋外、屋内、サイズも巨大なものから閉ざされた密室まで発想によって可能性は尽きないと思います。

今後の展開については・・・内緒です。